令和元年度 全国学校保健・安全研究大会及び第69回全国学校歯科医協議会

 令和元年11月21日(木)13時より埼玉県さいたま市のソニックシティにて令和元年度全国学校保健・安全研究大会が開催されました。学校保健・学校安全の功労者に対し「学校保健の部」「学校安全の部」「学校安全ボランティア活動の部」それぞれの受賞者に対して文部科学大臣表彰が行われました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 北海道からは学校歯科医4名が表彰されました。続いて14:30より「子供のインターネット利用と健康」と題して埼玉大学教育学部教授 戸部 秀之 先生の記念講演が行われました。インターネットやスマートフォンが広く普及したことによって学校現場や医療の分野からは健康・安全、発達、社会生活、学習等に重大な問題が生じている。インターネット依存が極めて高い中学生では就寝時間が午前1時以降となる者が50%を越えており、心の不調、体の不調を訴える者も多い。ネットいじめや犯罪被害などの懸念も多い。今後一層社会の基盤となるインターネットには発展(光)とともに問題の発生(影)を抑制する必要がある。子どもたちの学び、育ちの基盤に関わる問題であり、人の心の深い部分にも関連している。私たち大人がこの問題を本当に理解し家庭・学校を含め社会が本気で考えていく必要がある。

 2日目の22日(金)の課題別研究大会では第5課題 歯・口の健康づくりでは日本学校歯科医会 副会長 柘植 紳平 先生より「健康な歯は口から笑顔から」と題し講義が行われました。私たちは学校での歯・口の健康づくりを通じて生きる力を育むほかに、生涯にわたる健康づくりに関する資質・能力を「知識・技術」、「思考力・判断力・表現力」、「学びに向かう力・人間性」の三つの柱に沿って整理し、「確かな学力」、「健やかな体」、「豊かな心」を総合的に捉えて構造化しなければならない。

 研究発表では(1)神奈川県立茅ケ崎養護学校統括教諭 一瀬 恵理 先生による発表では学校歯科医や関係機関と連携し、保護者を交えた取り組みの中で歯科検診では学級担任や養護教諭による「受診ごっこ」等の事前指導や学校歯科医によるBGM,アロマ等の場の工夫を通して、緊張感を緩和する環境づくりに努めている。

 

 (2)栃木県宇都宮市鬼怒中学校 養護教諭 棚原 梨紗 先生による発表、 生徒保健委員会を活用して健康な歯肉と歯肉炎の模型を作成し触ることができる教材として展示したり、学校歯科医と協働して「健康な歯模範生徒」を表彰したりするなど、興味・関心・意欲の喚起を図っている。

 (3)埼玉県羽生市立新郷第二小学校 養護教諭 熊木 和美 先生による発表、 毎日の「歯みがきタイム」の取り組み方を評価する「歯みがきかがやき賞」、「歯みがき音楽」の工夫、「クラス対抗歯みがきグランプリ」、「目と口の体操」、毎月第3水曜日に全校で染め出し検査を行う「マイ歯ッピーチェック」などネーミングの妙も光る多彩な教育活動を展開している。などの発表がありました。

 

 令和元年11月21日(木)15:30よりパレスホテル大宮にて第69回全国学校歯科医協議会が開催されました。

 文部科学大臣表彰受賞者紹介の後、講演、シンポジウムが行われました。東京歯科大学 口腔健康科学講座 スポーツ歯学研究室 教授 武田 友孝 先生による「マウスガードの有効性とより安全性の高いマウスガード」と題して講演がありました。カスタムメイドタイプ マウスガードは多くの報告が示しているようにその効果は高く、自分自身を守るだけでなく相手選手への外傷を予防することができる。さらに高い安全性のマウスガードとしては「ハード&スペースタイプマウスガード」があげられる。これはEVA材2枚の間に硬性材(アクリルやPET材)を挿入するものです。

 この後シンポジウムでは元ラグビー日本代表で第2回ワールドカップ出場の立正大学ラグビー部監督 堀越 正巳氏と武田 友孝 教授がマウスガード普及と先日行われ大変盛り上がったラグビーワールドカップ日本大会の裏話等がありました。

 

 

(清水 健司 記)