平成29年度 第1回学校歯科研修会

 9月2日(土)午後3時から札歯会館大講堂にて開催され、会員41名と養護教員など66名が受講されました。今回は日本歯科大学新潟病院総合診療科准教授の猪子芳美先生をお招きして、「快眠、快食のススメ-睡眠専門歯科医が考える食育-」と題して講演していただきました。

 

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 はじめに睡眠の常識・非常識について、寝だめは効かない、寝ない子どもは太るなど、睡眠にまつわるお話をクイズ形式で講演されました。全問正解者には猪子先生からお土産が手渡されました。

 

 次に、遅寝しない、遅起きしない、朝ご飯は食べる、について講演されました。食育について最初に提唱されたのは明治29年、石塚左玄の「化学的食養長寿論」に記載されたのが始まりだそうです。食育基本法が制定されたいきさつについて、戦後の高度経済成長により日本人の食生活が激変したこと、それにより生活習慣病や過度の痩身志向、食文化の喪失などの諸問題が起き、その対策として制定されたと解説されました。遅寝はなぜいけないのかについては、寝不足になる、心身の成長が阻害される、食生活の不健全化、メラトニンの分泌減少、生体リズムの乱れ(社会的時差ぼけ)、感情のコントロールが困難になるという理由を挙げられ、詳しく解説されました。特に、感情のコントロールについてはセロトニンの分泌が重要で、セロトニンを増やすためには質と量が整った睡眠とバランスの良い食事が重要と述べられました。朝ご飯抜きの生活は、脳のエネルギー不足、体温が上がらない、肥満のもとになることから朝食をとることの重要性を述べられました。

 次に、「噛みんぐ30」についての講演では、噛むことの効果として、肥満の防止、味覚の発達、胃腸の働きを促進、セロトニンの分泌、脳の発達、口蓋顔面頭蓋の成長を挙げ、それぞれについて詳しく解説されました。30回噛むことを数えながら食事するのではなく、食事の中に噛み応えのあるものを取り入れるなど、自然にたくさん噛むようにする工夫について説明されました。

 

 講演後、参加者から多くの質問があり、睡眠時無呼吸症候群と顎の大きさの関連、「噛みんぐ30」の指導方法、一日一食についての見解、いびきとレム睡眠ノンレム睡眠との関連、睡眠障害の今後の動向について一つひとつ解説されました。

 

 

(堀井 豪 記)