第79回 全国学校歯科保健研究大会

(1日目)

 平成27年10月29日(木)・30日(金)の両日、第79回全国学校歯科保健研究大会が長野県長野市で開催されました。「生きる力」をはぐくむ歯・口の健康づくりの展開を目指して---生涯を通じて自らの健康を保持増進するための学校歯科保健のあり方---という主題および副題のもと、全国より学校歯科医、歯科医師、歯科教育関係者、学校・幼稚園・保育所(園)などの教職員、都道府県市区町村教育関係者、歯科衛生士、歯科技工士、その他学校保健関係者やPTA会員などが集まりました。

 

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 大会初日、会場となったホクト文化ホール(長野県県民文化会館)にて午後1時から開会式が行われました。主催を代表しまして清水惠太日本学校歯科医会会長、長野県歯科医師会会長春日司朗、阿部守一長野県知事(代理)、長野市長加藤久雄の挨拶がありました。次に塩崎恭久厚生労働大臣(代理)、山科透日本歯科医師会会長(代理)、日本学校保健会会長横倉義武(代理)の祝辞があり、その後臨席を賜った来賓が紹介されました。続いて平成27年度(第54回)全日本学校歯科保健優良校の表彰式が行われ、優秀賞(文部科学大臣賞)7校(園)、日本学校歯科医会会長賞8校(園)、日本歯科医師会会長賞10校(園)の紹介と、表彰状授与がありました。

 

 14時15分より元岡山大学病院小児歯科講師、現国立モンゴル医科大学歯学部客員教授岡崎好秀による基調講演がありました。岡崎先生は札歯、道歯でも講演頂いたことのある先生です。テーマ~食育の基本は歯・口の健康づくりから~を得意の漫画やクイズを用いて最新の内容を盛り込んで発表されました。先生の学生時代は乳歯の正常咬合は、切端咬合で空隙のあるものだと教えられてきたが、最近は切端咬合・空隙歯列弓は少数派であり、前歯部の被蓋が深く閉鎖型歯列弓が大半を占めている。それはもちろん遺伝的要素も原因と考えられるが、食生活の変化が口腔に現れているのではないかと話されておりました。 15時50分よりシンポジウムが開催されました。

 

<テーマ>生涯を通じて自らの健康を保持増進するための学校歯科保健のあり方

 

座長     東京女子体育大学教授  戸田芳雄

シンポジスト 長野県教育委員会課長  宮下朋子

シンポジスト 東京都小学校養護教諭  上野弘子

シンポジスト 東京都小学校元校長   小暮義弘

シンポジスト 高知県中学校学校歯科医 野村圭介

 

 行政からの発表では、長野県は平均寿命が男女ともに全国第1位の健康長寿県で、さらに世界一の健康長寿を目指すべく健康づくり県民運動「信州ACE(エース)プロジェクト」に取り組んで効果をあげているとの報告がありました。ちなみにACEとはAction(体をうごかす)、Check(健診を受ける)、Eat(健康に食べる)の略であります。

 また、養護教諭、元校長、学校歯科医それぞれの立場から、学校保健委員会の取り組みについての発表がありました。養護教諭からは学校保健委員会で教員と保護者が3人一組の小グループで話し合うことを取り入れたところ効果を実感できた。元校長からはマンネリ化する学校保健委員会の活性化策として、保護者から各学校医、学校歯科医、学校薬剤師などからに聞きたいことの事前アンケートなどで聞いてそれを取り上げるとよいなどの発表がありました。しかしながら、まだ地域によって学校保健委員会の設置率が低いところや、設置されていても実際に開催されていないなどの課題も多いのが現状です。

 

 

(辻村 祐一 記)

 

(二日目)

 大会二日目は9時15分より領域別研究協議会が行われました。小学校部会では、長野県駒ケ根市立赤穂南小学校の「歯と口の健康づくり」の推進についての発表がありました。 ピカピカチェックと題して体重測定時等に養護教諭が児童一人ひとりの歯のチェックを行う。歯ッピーチェックカードで月に一回家庭内で親子で歯の点検をして記録。

 学校歯科医との連携では、春と秋に年二回の歯科検診を実施。全校児童への講話。歯ッピー給食として毎月2~3回各教室で児童と一緒に給食を食べながら給食指導と食後の歯みがき指導を行っている。

22年前の開校時のDMFTは2.2本から本年度は0.7本へと減少している。

 

 

(清水 健司 記)