第64回全国学校保健研究大会及び全国学校歯科医協議会

11月6日(木)、7日(金)の両日、来年3月の北陸新幹線開業で駅前開発が行われ経済発展の期待がかかる金沢で全国学校保健研究大会・全国学校歯科医協議会が開催されました。

 

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一日目はまず、全国学校保健研究大会開会式・表彰式・全体会講演が石川県立音楽堂で行われました。札幌歯科医師会からは長年にわたる学校保健・学校安全へのご功績により、栄えある文部科学大臣表彰を武田 洋先生、稲垣幸治先生が授与されました。両先生ともに本会の学校歯科保健活動にも多大なる貢献をいただいております。

 

全体会講演では、聖心女子大学文学部教育学科 教授 植田誠治 先生に「学校における健康教育を未来に生きる子供たちのために」という演題でご講演いただきました。植田先生は保健教科書の作成や、よりよい保健授業とは何か、また諸外国の動向調査、子どもの健康行動の分析などの研究を中心にされている方です。先生が求められる保健授業の7点の重要観点として

 

(1)1時間1時間の授業を大切にする。

(2)「好き」「楽しい」を優先する、「思考力・判断力」を高める。

(3)“あれもこれも”から“これこそ”へ。

(4)児童生徒の健康課題に対するオーナーシップを高める。

(5)病気生成論から健康生成論へ。

(6)健康内容と教材の追求。

(7)学校、地域、専門家などとの連携の必要性。

 

を挙げておりました。

 

全国学校保健研究大会一日目終了後、場所を移しまして全国学校歯科医協議会がホテル日航金沢にて開催されました。

 

今回のシンポジウムは「健康教育において学校歯科保健の果たすべき役割」~生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる力を育むために~のタイトルのもと、座長には石川県歯科医師会会長 蓮池芳浩先生。シンポジストは、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課 教科調査官 森 良一氏、金沢市立浅野川中学校保健主事・養護教諭 藤森敦子先生、日本学校歯科医会 常務理事 竹内純子先生の3名でした。

 

教育行政、学校現場、学校歯科医のそれぞれの違った立場からのご講演をいただき、健康教育において学校歯科保健の担い手である学校歯科医がいかなる役割を果たすべきかを、シンポジストと参会者とで活発な討論のなかで共に考えて参りました。

 

二日目は全国学校保健研究大会課題別研究協議会が石川県地場産業振興センターに於いて行われました。

 

第7課題(歯・口の健康づくり)では「生涯にわたる健康管理の基盤となる歯・口の健康づくりの進め方」のテーマで協議を行いました。まず、指導助言者の東京都多摩保健所 歯科保健担当課長 五十里一秋氏のもとで3名の研究発表がありました。

 

(1)石川県津幡町立井上小学校 養護教諭 西尾桂子先生による発表では個人個人の健康診断結果を記入した「はみがきカレンダー」に児童それぞれが自分で「めあて」を設定し、それを配布して家庭での歯みがきを推進し、それができたことに共感することでさらに高い目標を設定できるようになった。また、給食時間によく噛むことの意義を教える「あいなのだタイム」を設定し学校担任が指導したところ児童だけではなく学級担任の興味、関心を深めるよい機会となったとの話でした。

 

(2)愛知県名古屋市立工芸高等学校 養護教諭 酒徳恵理子先生による発表では、生徒の半数が卒業後すぐに就職するので、生涯にわたる健康増進への意識や実践力を養う最後の機会として、歯の保健指導を行っている。クラブ活動のような生徒保健会を立ち上げ、そこの生徒自らがオリジナルの歯の健康増進イメージキャラクターや、掲示物、表彰状などの立案、作成を行って、生徒同士相互で健康に対する意識付けを行いあって成果をあげているとの報告でした。

 

(3)東京都足立区立第一中学校 主幹教諭(養護教諭) 山本康子先生による発表では学校、家庭および地域社会が連携した学校歯科保健活動の進め方についての話がありました。学校保健委員会のメンバーである、学校歯科医のみならず、PTAの方や、地域町内会の歯の健康づくり自主活動グループの方、また歯科衛生士専門学校とも連携して地域社会全体が学校と結びついて学校歯科保健活動を展開されている様子が示されておりました。

 

発表後には、質疑応答を交えながらそれぞれに対する研究協議が行われました。

 

その後日本大学教授 前野正夫先生より「歯・口の健康づくりは全身の健康にも貢献する」~歯周病と糖尿病およびメタボとの関わりを中心に~の演題で講義が行われました。

 

「歯・口の健康づくり」は、むし歯や歯肉炎など単に口の中で起こる疾患の予防のためだけでなく、生涯にわたる「全身の健康づくり」にも密接に関連していることを、学校現場で児童生徒に伝えてほしいと話されておりました。

 

 

(辻村祐一 記)