第62回指定都市学校保健協議会前日歯科保健協議会並びに第62回指定都市学校保健協議会報告

平成23年5月21日(土)22日(日)の両日、京都市において標記協議会が開催され、藤田会長、大橋担当理事、大川委員長が出向いたしました。

第62回指定都市学校保健協議会前日歯科保健協議会
5月21日(土)午後2:15よりリーガロイヤルホテル京都にて開催されました。さいたま、神戸、名古屋、福岡、仙台、川崎、北九州、広島、大阪、岡 山、相模原、京都、札幌の13都市の歯科医師会または学校歯科医会の参加がありました。東日本大震災の被災地仙台歯科医師会からは、各地からの支援に対す る感謝の言葉と現状の報告がありました。

主題:「地域連携における学校歯科医のあり方」
学校歯科医は、学校歯科保健において子どもたちの歯と口の生涯にわたる健康づくりとその保持増進を図り、学校教育が円滑で効果的に行われることに資する よう、様々な活動に参画することが求められている。その活動内容は時代の変遷とともに変化してきており、学校歯科医に求められるものはより大きなものに なってきた。平成21年4月施行の学校保健安全法においても、学校歯科医の役割としてより積極的に保健指導に従事するよう明記され、保健教育へのかかわり が求められている。また一方では、「食育」、「児童虐待」、「薬物や喫煙」、「フッ化物応用」等々の学校歯科保健において新たに取り組むべき課題も生じて きている。
このような現状の中、学校を核に、それぞれの地域においてその地域の状況にあわせた保健活動を展開することで、その成果を児童、生徒に還元することは意 義のある事と考える。そこで今回、学校を中心とした地域の連携による学校歯科保健活動のあり方や、具体的な方策、そのなかの学校歯科医のかかわり方などに ついて協議し、今後の学校歯科医と学校歯科保健のあり方を考える契機としたい。

〈口頭提言1〉大阪市学校歯科医会
大阪市学校歯科医会では、健康診断結果を分析し、そこから見つかった問題点を、学校保健関係者と連携をとって解決するような保健指導を行なうことが大切と考えて、健康診断結果の分析実習を伴った研修会を開催し、会員の資質の向上に努めている。
また、子どもたちが生涯にわたる健康観を培うために、幼稚園から中学校まで5つの保健指導をその段階に応じて一貫した内容で行なっているが、学校歯科医はそれらの保健指導に必ず参加して、派遣された衛生士と共に学校歯科保健指導に従事するようにしている。
日本学校歯科医会が行なっている「生きる力を育む歯と口の健康づくり推進事業」に参加し、行政や区の学校保健協議会と連携をとりながら地域学校歯科保健を推進することが地域連携を模索する一法と考えている。

〈口頭提言2〉福岡市学校歯科医会
「学校歯科医とかかりつけ歯科医の連携を考える」
福岡市の関係団体と福岡市歯科医師会でつくる福岡市衛生協議会では時事のテーマについて協議の場をもっているが、総論的な話にとどまり不十分である。別 に各学校歯科医は、学校保健委員会を通じて校長、養護教論、栄養士、PTA役員、保護者、学校医、学校薬剤師等と協議を行い、新たな課題について地域連携 を図って問題の解決にあたっている。
日常的には、かかりつけ歯科医が児童・生徒やその家族に対して口腔の治療やメインテナンスを行って地域医療を担っている現状がある。このことから学校歯 科健康診断後の相談や事後措置については、かかりつけ歯科医や専門医との連携が必須である。従来から行われている健康診断後の通知だけでは、児童・生徒、 家族やかかりつけ歯科医との連携が困難と思われる。そこで校区ごとに、学校歯科医とかかりつけ歯科医が連携を深め、学校保健教育の目的を成就させるため、 新たな機構を考えることが必要になってくると思える。例えば「校区歯科保健協議会」などの名称で、校長、養護教諭、PTA、かかりつけ歯科医などの参加を 得て、学校歯科保健の地域との連携を深める必要があると考える。

札幌歯科医師会からの紙上提言
札幌市学校保健会は、幼稚園長会、小・中・高校の校長会、教頭会、養護教員会、学校給食栄養士会、保健主事連絡協議会、学校医協議会、歯科医師会、学校 薬剤師会、PTA協議会等の代表により学校保健の普及振興、研修、調査を行い、児童生徒の健康の保持増進に努めている。このような組織による連携をもと に、各学校において保護者や児童生徒への指導・助言を行うことは、子供たちの生活改善にとって重要である。
ヘルスプロモーションの理念に基づく児童生徒への学校保健教育の中に歯科保健を充実させるべきことは論を俟たない。しかし、生活習慣病、児童虐待、薬物 の問題など子どもたちを取り巻く悪化した生活環境の改善には、問題点を明確にするとともに専門家の助言をもとに保護者への積極的なアプローチが必要にな る。その拠点として学校保健委員会の拡充を進めることは子どもたちの生活改善のみならず、口腔内改善にも繋がるであろう。その為に、学校歯科医は学校保健 委員会の設置及び活用に積極的に取り組むべきである。

 

第62回指定都市学校保健協議会(5月22日)

 

 

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5月22日(日)午前9:30より京都会館、京都市勧業館(みやこめっせ)で開催されました。午前中は全体協議会と記念講演、午後からは課題別協議会が行われました。

主題:未来を担う子どもの心身の健康とたくましく生きる力を育む学校保健
~家庭や地域と連携し,学校全体で推進する学校保健活動~
多様化・深刻化する子どもの現代的な健康課題を解決する取組を推進するためには、学校内の充実した組織体制の確立が基本となる。校長、保健主事、担任教 諭、養護教諭などの関係教職員が共通認識を持ち、それぞれ専門的知見を生かして学校保健・学校安全の取組を推進することが必要である。また、同時に地域や 家庭との連携をより強化していくことが求められる。平成21年4月1日に施行された「学校保健安全法施行規則」では学校医、学校歯科医に加え学校薬剤師に ついても健康相談と保健指導に従事することが新たに定められた。学校保健委員会等の活性化をはじめ、今まで以上にそれぞれの専門職が連携して学校保健を大 きく推進することが期待される。

【記念講演】
演題:「京の食文化―私のこだわり」
講師:京都・南禅寺畔 瓢亭
十四代当主 高橋 英一 氏
講師の高橋 氏は食育にも取り組んでおられます。今回は京料理の特徴、歴史、食材、食器などについてお話しされ、興味深く聴講させていただきました。

【課題別協議会】
下記の4分科会に分かれて行われ、合計20題の口頭提言がありました。
第1分科会(健康教育)
「生涯にわたって健康の保持増進に取り組む子を育てる健康教育」
第2分科会(保健管理)
「子どもの健康の保持増進につながる保健管理のおり方」
第3分科会(心の健康)
「心の健康つくりをめざす組織体制と支援のおり方」
第4分科会(地域保健)
「学校・家庭・地域の連携で進める学校保健活動」