第61回北海道学校保健研究大会十勝(帯広)大会報告

大会主題
北の大地を生涯を通じて、心豊かにたくましく生きる子どもの育成を目指して ~澄んだ青空ときれいな水、安全安心な食に恵まれた「フードバレー」の地 とかち帯広で、明日を拓く子どもたちの生きる力を育むために~

 

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平成24年11月4日(日)、気温が10度ほどの肌寒い中、午前9時30分より帯広市民文化ホールにて開会式、表彰式、基調講演が開催されました。
前日の3日は午後より、北海道歯科医師会主催で学校歯科医基礎研修会が行われ、夕方には、今大会にて表彰される歯科医師で大会に出席される先生を招待 し、道歯会長や地元歯科医師会の役員の方々も参加され、盛大に前日懇談会が開催されました。表彰される先生方それぞれから、今までの学校保健に関する実績 やご意見が聞かれ、大変有意義な会でした。
4日の大会の開会式では、例年通り、北海道教育委員会教育長、日本学校保健会長、北海道学校保健会長の主催者挨拶があり、続いて、北海道知事(代理)、帯広市長の来賓挨拶があり、つつがなく開会式が終了しました。
表彰式は、学校保健功労者表彰で、学校医20名、学校歯科医38名、学校薬剤師15名、教職員11名が表彰されました。
若干の休憩をはさんで、基調講演が行われました。

演題 「メディアリテラシーと子どもの健康」
講師 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
教授  川畑 哲朗 氏

メディアリテラシーとは、コンピューターネットワーク・テレビ・音楽・映画・出版物などさまざまなメディアが伝える価値観・イデオロギーなどをうのみに せず、主体的に解読する力をつけることです。大量の情報があふれる現代社会において、メディアが子どもたちの健康に与える影響は多大であります。一つは、 長時間のメディア使用に伴う視力低下など、直接的に心身の健康に影響するもの。もう一つは、メディアから受ける情報により、子どもたちの行動や考え方に変 化が現れ、健康にも影響していくというものがあります。
思春期が進むにつれてメディア情報の影響により、飲酒・喫煙・性行動などの危険行動が広がっていくことを考えると、メディア情報が子どもたちの健康に及 ぼす影響や危険行動の防止対策について早急に検討することが求められています。講演では、実際に広告に使用されたものを表示して、問題点を聴講者に聞いて いくスタイルで進められました。メディアの悪影響について説明され、メディアリテラシーの形成が必要であることを講演されました。

午後からは、会場を「とかちプラザ」に移して、部会別研究協議が行われました。

 

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第1部会 学校経営と組織活動
1・特色ある学校経営を基盤とした組織的・計画的な学校保健活動等の進め方について
2・学校、家庭及び地域の関係機関と連携した学校保健委員会の活性化について
第2部会 保健管理・保健教育
1・適切な健康診断の実施と事後処置、健康相談の進め方、感染症等の予防と対策、学校環境衛生活動の充実など、学校、家庭及び地域の関係機関と連携した保健管理の進め方について
2・各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間との連携を図った保健教育の実施について
第3部会 安全管理・安全教育
1・学校安全計画や危機等発生時対処要領の適切な作成、緊急事態発生時の対応など、学校、家庭及び地域の関係機関が連携した安全管理の進め方について
2・各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間との連携を図った安全教育、防災教育等の実施について
第4部会 発達障がいを含む障がいのある子どもの保健教育・安全教育
最初に、北海道帯広養護学校の櫻田なおみ先生より、「一人一人の健やかな学校生活を育むために~医療機関との連携を図りながら~」という研究発表があり ました。その中で医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍するようになり平成22年度から看護師を配置していることや、家庭や医療機関(主治医)との連携を 重視した教育活動を行っていることなどを話されました。そのような実践の成果として、児童生徒の健康の保持・増進や生活リズムの確立が図られたこと、自立 心の芽生え、学校生活の質の向上等を挙げられました。
次に、帯広市立西陵中学校の千葉考司先生より、「発達障がいの疑いのあるA君の非行への対応」という研究発表がありました。その中で表記のA君への指導 の方針やその限界あるいは課題を述べられました。指導の方針または課題として子どもの現実からスタートして大人がワンダウンポジションをとり100%受容 すること、発達障がいは先送りにせず対処すること、また外部機関と連携することなどを挙げられました。
それぞれの部会では、提言者2校、助言者2名の構成で、司会者を中心に協議されました。
提言を行う学校ではそれぞれの特色を生かした学校保健活動を行っており、活発な質疑応答が行われていました。