第64回指定都市学校保健協議会前日歯科保健協議会並びに第64回指定都市学校保健協議会報告

平成25年5月25日(土)、26日(日)の両日、神戸市において標記協議会が開催され、藤田会長、大橋担当理事、大川委員長が出向いたしました。

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第64回指定都市学校保健協議会前日歯科保健協議会

5月25日(土)午後2:00より新神戸ANAクラウンプラザホテルにて開催され、名古屋、福岡、仙台、北九州、大阪、岡山、相模原、さいたま、神戸、札幌、熊本(オブザーバー)の11都市の歯科医師会または学校歯科医会の参加がありました。


主題「今後の指定都市学校保健協議会 前日歯科保健協議会のあり方」
本協議会は、政令指定都市の学校保健会が主になって持ち回りで開催する「指定都市学校保健協議会」の前日に開催されてきたが、不参加や脱退のため、今後「指定都市学校保健協議会」開催都市の歯科医師会が本協議会に加盟していないという事態がたびたび起こることが予想される。その場合、本協議会の開催が危ぶまれることから、以前よりその対応について継続的に話し合われてきたが、今回は本格的に協議主題として取り上げ、方向性を決めようということになった。


「ここ数年における各都市での学校歯科保健事業の取り組みについて」
まず、各都市から学校保健関連事業の取り組みについての報告が行われた。
その中で、さいたま市からは、埼玉県歯が日学歯の加盟団体になっており、さいたま市歯科医師会は加盟団体ではないので、さいたま市歯科医師会が選定する学校歯科医が日学歯の会員ではないという事態が起こるという問題点が示された。
名古屋市学校歯科医会からは、これまで手作りだったHPを業者に依頼して充実したものにリニューアルしたことが報告された。
大阪市学校歯科医会からは、行政の財政難により、私立幼稚園の民営化など学校歯科保健事業に支障を来す状況が報告された。また、デジタル化による新しいディバイスの開発、導入をすすめ、情報の分析、データの蓄積により各学校歯科医への支援体制を整えるべきとの提言がなされた。
岡山市歯科医師会からは、学校歯科健康診断の「岡山方式」について説明があった。岡山市では毎年5月に私立幼稚園、小中学校の健康診断を同一日の午前中に一斉に行っている。66才までの歯科医師会会員全員の参加を義務づけている。


「今後の指定都市学校保健協議会 前日歯科保健協議会のあり方」
協議では、まず、本協議会を何らかの形で毎年継続開催していく方針が確認された。その上で、開催時期、開催幹事都市、費用の軽減などについて話し合われた。来年度、すでに脱退している横浜市歯科医師会の代わりに協議会を開催することが決まった名古屋市学校歯科医会より、再来年の名古屋市開催以降、幹事都市が空白となる4年間について、「学校歯科医会」として活動している名古屋、大阪、福岡が中心となって運営していく案が出され、来年度、再来年度をかけてその案を軸にさらに具体的に検討していくことになった。
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第64回指定都市学校保健協議会

5月26日(日)午前9:00より神戸市学校保健会、神戸市教育委員会の主催で神戸市看護大学において開催されました。午前中は全体協議会と記念講演、午後からは課題別協議会が行われました。


協議主題 「生涯にわたり、心豊かにたくましく生き抜く力を育む学校保健の推進」
近年社会の変化に伴い、健康の保持増進の観点から早急に取り組むべき新たな健康課題が指摘されている。
21世紀を生きる子どもたちに対して、学校園においては、自分の健康状態に関心を持ち、健康上の課題を見つけ、自ら調べ考え、解決に向かって主体的に行動できるような資質や能力を身につけるための保健教育活動を推進させる必要がある。特に学校は、家庭や地域の関係機関・団体と連携を深め、それぞれの役割分担を明確にし「たくましく生きる力」が育まれるようにコーディネイトしながら相互に支援協力を推進させることが重要である。
本協議会においても、生涯にわたり心身ともにたくましく生きる子どもの育成を目指して、学校保健に関する諸課題について医師会・歯科医師会・薬剤師会等医療関係者や各種団体と学校関係者が研究協議を行い、学校保健の充実発展に資するものとする。

 

【課題別協議会】
下記の4分科会に分かれて行われ、合計20題の口頭提言がありました。

第1分科会 健康教育 「生涯にわたって健康の保持増進に取り組む子を育てる健康教育」
第2分科会 保健管理 「子どもの健康の保持増進につながる保健管理のあり方」
第3分科会 心の健康 「心の健康づくりをめざす組織体制と支援のあり方」
第4分科会 地域保健 「学校・家庭・地域の連携で進める学校保健活動」

〈歯科関連抜粋〉

第1分科会 No.3
「私の歯・口腔を知ろう」
― 子どもが歯・口腔状態を知り、健康の保持増進につなげるための学校と学校歯科医の取組 ―
境市立東三国丘小学校 学校歯科医 森 純一
歯科指導推進のための取組
(1)歯科衛生士による指導
歯科衛生士は各学校歯科医の診療所に勤務する者を含め多くの人材を集め、事前に講習会を
実施。
(2)堺市歯科衛生士専門学校生による歯科指導
(3)保健センター歯科衛生士による歯科指導
(4)学校園への指導教材の貸し出し
(5)教職員と学校歯科医の研修会
・7月に学校歯科医会主催にて開催。
・各学校の学校保健安全委員会の場で学校歯科医が講師を務め教職員の研修会を開催。


第3分科会 No.2
児童虐待の現状と課題について ~学校歯科医としてどうかかわるか~
横浜市立戸塚小学校 歯科校医 村松 朋彦
①口腔内の外傷(歯の破折や粘膜の損傷等)の放置
②口腔周囲の外傷、全身の外傷
③萌出直後からのむし歯
④多数歯のう蝕罹患
⑤重度のう蝕の放置
⑥きわだった口腔内の不潔
以上のような所見が見られる児童は養護教諭、学級担任に必ず報告する必要があると思われる。最終的には校長の判断で通報することになるが、大切なのは校長一人に任せないということである。ミーティングを学校医、学校歯科医を交えて行うことで、専門的な意見が出て通報しやすい状況が生まれると思われる。
虐待の早期発見には学校の教職員と学校歯科医の連携が非常に大切である。


第4分科会 No.5
歯磨きから始まる歯と口の健康づくり
熊本市立東町小学校 学校歯科医 井手 裕二
熊本市歯科医師会主催で昭和47年に始まった小学校における「歯磨き巡回指導」は、熊本県歯科衛生士会熊本市支部の協力を得て、毎年6月と11月に行われている。指導の際は、ボランティアの8020推進員に染め出し剤の配布や個別指導の支援をお願いしている。また、保護者の参加により理解を深めてもらうようにし、特別支援学級では仕上げ磨きに協力していただく。担当の学校歯科医とその診療所の歯科衛生士にも参加してもらい、個別指導の支援などの協力をお願いしている。(大川晋一 記)