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第77回全国学校歯科保健研究大会報告

 10月17日(木)・18日(金)の両日、第77回全国学校歯科保健研究大会が、熊本県熊本市の市民会館崇城大学ホールと熊本市国際交流会館で開催されました。
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 メインテーマとして「生きる力」をはぐくむ歯・口の健康づくりの展開を目指してとし、サブテーマとして〈学校歯科保健で取り組む食育と口腔機能の健全な発達支援を考える〉とし研究協議が進められました。

1日目

 基調講演 学校歯科保健で取り組む食育と口腔機能の健全な発達支援を考える
         「食育と口腔機能」
         東京医科歯科大学 名誉教授 黒田敬之

 「食育」は決して新しい言葉ではありません。過去の書物を見ると明治の時代から食育は子育てとしつけの基本であったことがうかがえます。単に食育を語るには範囲が広すぎて収拾がつかないので、学校保健の分野で考えると、平成17年に「食育基本法」が制定されてから、給食をいろいろな意味での教材として保健教育のカリキュラムが組まれてきているといえます。そこで「食育」に関連して、摂食行動の窓口を担う顎・口腔系の成長発育並びに総合咀嚼器官としての機能評価を行うというテーマについて講演されました。学校保健での食育の歴史から始まり、学校教育での食育の取り組みについて述べられてから、顎顔面構成要素(歯・歯列・咬合、歯槽骨を含む顎骨)の成長発育と口腔機能の発達について、顎関節の成長発育、総合咀嚼器官としての調和とくに軟組織としての関係、咀嚼能力の検査について講演されました。歯科医から見る食育に関しては、いろいろと難しい面が多々ありますが、歯科医の専門知識を持って学校保健活動にかかわれることが望ましい形だと思います。
「子ども達の発達段階に応じた、情緒的、道徳的側面を組み入れた適切な健康教育指導が今後の学校歯科における重要な案件になると信じている」として講演が終了しました。

 シンポジウム
    学校歯科保健で取り組む食育と口腔機能の健全な発達支援を考える
      1.大阪歯科大学小児歯科学講座  教授  有田 憲司
      「食べ方」を視点にした食育の意義
         ~食育はヒトが人間になる過程の重要な支援~
    2.東京都中野区立緑野中学校 学校歯科医 田中 英一
        学校歯科医 現場の声
    3.公益社団 全国学校栄養士協議会 理事 福岡 ちづる
        学校給食を「生きた教材」として活用した歯・口の健康づくり
    4.熊本県教育庁教育指導局体育保健課課長 平田 浩一
        地方行政の視点から

 上記の演題で4名のシンポジストからそれぞれの立場で、取り組み事例の報告がありました。。
 有田教授のお話では、乳児嚥下から成人嚥下に変化することが他の動物にないハードルであり、食育は呼吸への配慮も重要で姿勢もポイントであることが興味深い内容でした。。
 福岡先生のお話では、地元の食材にこだわり、歯ごたえのあるものを生徒に分ってもらってから給食に出して、噛むことの大事さを理解してもらうようにしているとのことでした。

2日目

 領域別研究協議会
  ・保育園・幼稚園部会
   1.幼稚園、保育園時期の子ども達の発育の把握と現場での口腔育成に
     関する取り組み、調査とその実態報告
   2.元気いっぱい・笑顔いっぱい・友だちいっぱいの子どもの育成
     ~歯みがきで心も身体も健康に~
  ・小学校部会
   1.自分の体に関心をもって、健康づくりを実践していく子どもの育成
     ~「歯・口の健康づくり」を通して~
   2.歯みがきからひろがる豊かな健康づくり
     ~学校歯科医・家庭・地域と連携した歯科保健活動を通して~
  ・中学校部会
   1.歯・口・食の健康づくりを通した生活習慣のブラッシュアップを目指して
     ~生徒の健康意識向上のための”つながる”歯科保健活動を考える~
   2.生徒が自主的に考え実践する歯と口の健康づくりの推進
    ~むし歯予防を通して生活習慣病の自主的な改善~
  ・高等学校部会
   1.地域の健康課題を意識した歯・口の健康づくりの進め方について
     ~天草地区養護教諭部会との連携及び生徒保健委員会の活動を通して~
   2.「食」を通して考える自立的な歯と口の健康づくり
     ~全日制・夜間定時制でのそれぞれの取組み~
  ・特別支援教育部会
   1.よい歯でよく噛みよい体! ~歯・口の健康意識の向上を目指して~
   2.本校における「歯科保健教育」の取り組み ~健康的な社会生活を目指して~

 各部会では、それぞれ2名の発表者が学校での実践活動についての研究発表がありました。
 提言を行う学校ではそれぞれの特色を生かした学校保健活動を行っており、活発な質疑応答が行われていました。
 学校歯科保健にかかわる関係者がさらに連携を深め、子供たちの望ましい生活習慣を形成するとともに、様々な健康課題の解決に寄与していくことを目指して閉会しました。(齋藤嘉高記)
       

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